「姿勢を良くして集中力を高めたい」と思って、兄弟やクラス全員に同じやり方をさせていませんか? しかし、小学校低学年と高学年では、体の発達も集中力の持続時間も大きく異なります。 私が理学療法士として関わったケースでも、同じトレーニングをさせて効果が出たのは片方だけ、ということが何度もありました。

低学年(1〜3年生)の発達特徴と必要な工夫
発達段階の特徴
- 体幹筋がまだ弱く、長時間の姿勢保持が苦手
- バランス感覚や運動協調性が発展途上
- 集中力は10〜15分が限界のことが多い
ある小2の男の子は、授業中にすぐに背中が丸くなり、鉛筆を落とすことが頻繁にありました。 机と椅子の高さを見直し、15分ごとに立って軽く体を動かす習慣をつけたところ、1か月後には授業後半まで姿勢を保てるようになりました。
低学年向けの効果的な取り組み
- 短時間(5〜10分)の遊び感覚の体幹トレーニング(例:動物歩き、バランスボール遊び)
- 15分ごとの立ち上がり・軽いストレッチ休憩
- 机はやや高めにし、背中を丸めずに鉛筆が持てる高さに調整

高学年(4〜6年生)の発達特徴と必要な工夫
発達段階の特徴
- 筋力・持久力がつき、20〜30分の姿勢保持が可能
- 複雑な運動や戦略的思考ができるようになる
- 思春期に入り、姿勢習慣が定着しやすい時期
小5の女の子のケースでは、姿勢保持はできるものの、机と椅子の高さが合わず足が宙に浮いていました。 足裏を床につけるように高さを調整し、1日5分の軽いランニングを習慣にしたところ、1学期後には集中力テストの得点が10%アップしました。
高学年向けの効果的な取り組み
- 持久力を高める運動(軽いランニング、長縄跳び)
- 姿勢保持筋を鍛える静的トレーニング(プランクなど)
- 椅子・机の高さを身長に合わせて調整し、足裏を床につける
よくある年齢ミスマッチの例
- 低学年に長時間の座学を課してしまう
- 高学年に遊び要素の多い運動ばかりさせ、発達に見合った負荷をかけない
- 成長による身長変化に合わせた机・椅子調整を怠る
こうしたミスマッチは、姿勢や集中力の伸びを妨げるだけでなく、学習意欲の低下にもつながります。

家庭で今日からできること
まずはお子さんの年齢と発達段階を意識し、机・椅子の高さと運動習慣を見直してみましょう。 低学年なら「短時間×遊び感覚」、高学年なら「持久力と姿勢保持力」を意識したトレーニングが効果的です。 年齢に合った工夫が、将来の学力や健康な体づくりに直結します。
行動の第一歩
今週末、お子さんの学習スペースをチェックし、年齢に合った運動を1つ取り入れてみましょう。 小さな一歩が、大きな成長のきっかけになります。
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